安倍政権発足後の景気について、データで検証する 雇用編

2012年末に成立した第二次安倍政権において、アベノミクスと呼ばれる経済政策を推し進めてきたが、ここではその成果を検証する。

 

まず雇用から。

雇用が好調かどうかを見るためには、失業率、就業者数、新規求人倍率を見ればよい。

 

 

 

新規求人倍率は、2009年春ごろを底として、波はあるものの、一貫して回復基調である。細かい点を述べておくと、11年3月の東日本大震災、14年4月の消費税増税による需要減の影響で下振れしている。

 

失業率は、2009年夏を底として一様に回復している。直近の失業率は1,2年ほど前に指摘されていた構造失業率3.5%を大幅に下回る3.0%である。

 

アベノミクスの成果と言われたら、これだろう。就業者数は、リーマンショック以降、底をはう、どころか2012年はさらに減る有様で、おそらく2012年までの失業率の回復は、就職を諦めた人たち(失業率では、職を探していない人は失業者にカウントされない)の影響も大きかったのだろう。また、就業者数は2016年に入ってから増加のテンポを早めて推移している。また、2016年7月の就業者数は約16年ぶりの値である。

(四半期ごとのデータだが)ただし、就業者の増加が非正規社員メインということもここで指摘しておこう。正規社員は定年以外の理由では解雇しにくいため、リーマンショック後でもあまり減っていない。また、高齢化により正社員数は90年代後半から漸減していた。90年代後半というのは日本の生産年齢人口のピークと一致する。(再雇用は非正規、つまり短時間労働の場合が大半)だがこれも、年明けごろから増加しつつあることは注目に値するだろう。なぜ就業者数が2013年初めころから回復していたのに、正社員数の回復は2016年までずれこんだかは、やはり解雇のしにくさにあるだろう。企業は2008,2009年ごろ、利益が急速に減少したのに、正社員を解雇できなくて困窮したトラウマがまだ残っているのかもしれない。ここで、割りを食ったのが派遣社員である。

 

派遣社員数は、2008年の140万人程度から、2009年の105万人程度まで、実に25%も減っている。正社員数が3420万人→3370万人と、1.5%程度の減少でしかなかったのとは、まさに雲泥の差である。正月の派遣村を覚えている人は今でも多いだろう。リーマンショックの時は派遣社員が雇用の調整弁となったことがありありとわかる。

 

結論として、安倍内閣が行った経済政策によって、雇用は回復していると言えるだろう。これから求められる政策としては、同一労働同一賃金、雇用の流動化、定年制の廃止等であろう。特に同一労働同一賃金は重要である。同じ仕事でも正社員の方が時給が高いために皆正社員を目指すのであり、短時間だけ働きたい人、短時間しか働けない人の時給が能力に関わらず相対的に低いので、不公平感を生み出しているからだ。小泉時代は全体のパイが縮小する(=デフレ)の状況の時に流動化を推し進めようとして失敗したが、今のように人手不足、マイルドなインフレの状況下ではその時よりは成功する確率は高いだろう。安倍首相の手腕に期待である。